欧州ドミノ倒し 2012 6 10

 今日の朝日新聞には、このような記事があります。
「バブル後遺症 銀行悲鳴」
 スペインは、1999年のユーロ導入後、
海外からマネーが大量に流れ込み、
バブルにつながった。
 各地で住宅やリゾートマンションの開発が進み、
銀行は不動産融資にのめりこんだ。
 2008年前後にバブルがはじけると、
地価は下がり、銀行は不良資産を抱え込んだ。
(以上、引用)
 これを読んで、多くの日本人は、
「日本のバブル崩壊後と同じだ」と思ったかもしれません。
 しかし、欧州のバブルは、日本と違います。
日本の場合は、自己資金でバブルとなりましたが、
スペインの場合は、「海外からマネーが大量に流れ込み」、
バブルとなったのです。
 そういうわけで、スペインが倒れると、「外国」も倒れるという構造です。
スペインに投資した外国の金融機関や投資家が、たくさん存在するということです。
 あまり想像したくありませんが、
最悪の場合、スペインが崩壊すれば、欧州は全滅でしょう。
ドイツ一国で、欧州全体を支えることはできないのです。
そういうわけで、「ユーロ各国、火消し急ぐ」ということです。
(この見出しは、昨年も一昨年も見たような感じがします。毎年、火消し急ぐ)
 さて、日本のバブル崩壊後の話をしましょう。
「いつになっても、不良債権処理は終わらなかった」
 なぜかというと、不景気の進行によって、
正常債権が、いつの間にか、
不良債権に転落していく「あり地獄」状態になってしまったからです。
 さらに、地価の下落が止まらず、
これも不良債権を発生させる原因となりました。
地価については、価値が10分の1になって、やっと止まった地域がありました。
大きなバブルの崩壊が起こると、地価は5分の1ぐらいになると思ってください。
 さて、話題を変えましょう。
経済政策の基本を話しましょう。
 一般的に、好景気の時は、
景気の過熱を防ぐために、緊縮財政や増税を行います。
欧州においては、昨年、そういう話が多かったと思いますが、
はたして、欧州は、昨年、「好景気」だったのか。
 まかり間違って、不景気の時に、
緊縮財政や増税を行うと、どうなるか。
欧州版の「失われた10年」、いや「「失われた20年」となるでしょう。
 ドミノ倒しは、16世紀のヨーロッパで考案され、宮廷で楽しまれていたそうです。
現代においては、宮廷ではなく、欧州経済という舞台で行われています。

通貨同盟の行方 2012 6 3
 おそらく、多くの人に、ユーロという通貨同盟の先行きが見えてきたでしょう。
2012年6月3日の日本経済新聞Web刊には、このような記事があります。
「バブル崩壊後のユーロ圏、失うのは10年以上か」
 日本は、バブル崩壊後、
銀行に対する公的資金注入に手間取り、
さらに、円の通貨高によって外需拡大という道も閉ざされ、
「失われた10年」という慢性病になってしまいました。
それでも、巨額の国内貯蓄で、日本は、何とか持ちこたえたのです。
 もちろん、これで、東アジア最大の民主主義国の繁栄はなくなったのです。
もし、日本のバブル崩壊が軽傷で終わり、再び繁栄していたとしたら、
東アジアの民主主義も、大いに拡大していたでしょう。
 さて、翻って、ユーロ圏は、どうか。
「ギリシャにせよスペインにせよ、ユーロという単一通貨に加わったことで、
ドイツやフランスなどからの投資が拡大し、バブルが生じた」
「(ギリシャもスペインも)別々の通貨のままでいたなら、
大幅な通貨安による外需拡大という逃げ道もあっただろう」
「欧州がユーロという仕組みにこだわれば、
バブル後の調整には時間がかかる。
『失われた10年』で済めば上出来だ」
「バブル崩壊がもたらす日本の教訓が、もう一つある。
財政の大幅な悪化だ。
 民間の企業や家計は、バブル期に膨らませた債務を圧縮する。
その過程で政府が債務を肩代わりしないと、経済全体が失速してしまうからだ」
「欧州の重債務国の財政は国内貯蓄が乏しい分、バブル崩壊後の日本より厳しい。
財政に余力のあるドイツが動かないと、ユーロ圏全体が需要不足に陥る」
(以上、引用)
 しかし、ドイツは、動かないでしょう。
ドイツ国民としては、
「なぜ、我々が、ギリシャやスペインの面倒を見なければならないのか」と思うでしょう。
 だから、ドイツ政府は、動けないでしょう。
つまり、来年も、欧州危機が発生するどころか、
毎年、世界に夏が来るように、ユーロ危機も、毎年やってくるでしょう。
 やがて、世界は、ユーロを忘れるでしょう。
21世紀の繁栄は、東南アジア、東アジアにあるでしょう。











































































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